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Essay of recor

音楽にまつわる慕情から哲学を綴る“エッセイ オブ レコー”

流行歌は思い出になります <国生さん>

クライマックス 80’s YELLOW
 
ハイティーンの頃
ハードコアパンクに傾倒していたぼくは、J-POPに強烈な嫌悪感を抱いていました。
流行り歌を聴くことは「テレビに踊らされてやがるぜ」、「耳が腐るぜ」と拒絶していたのです。

そんな頃、ある本で“流行歌は思い出になります”というくだりを目にし、こともあろうか心を動かされてしまいました。

「だよなぁー。昔の歌謡曲を聴くとなんだか胸が熱くなるんだよなぁー」
「でも、今は毎日パンク、パンク、俺はパンク、くたばるまでパンクパンクパンク(by スタークラブ)。思い出作れないなぁー」
と少し残念な感覚をおぼえたのでした。
振り返ってみれば自己主張と排他主義をはき違えていたんですね。若気のいたりです。

さて、
匂いがそれにまつわる記憶を呼び起こす“プルースト効果”と言う現象があります。

たとえば、雨の匂い。
日差しで焼けたアスファルトに雨が降り出した時、その匂いを嗅いで
外で遊んでいた幼い頃の記憶がフラッシュバックしませんか?
ナニ?しない?

季節の変わり目を匂いで感じる時ってありますよね?
外に出た瞬間「あ、夏の匂い!」とか。
名前も知らない花の香りで「もうそんな季節なのね」とか胸、騒ぎまくりますよね。
騒ぎますよね?騒がない?失礼しました。
・・・ぼくは音楽にもプルースト効果はあると思います。
久しぶりに聴いた曲は以前その歌を聴いていた時の事を思い起こさせてくれるのです。

たとえばぼくの場合、国生さゆりの“バレンタイン・キッス”を聴くと
→「バレンタインデーキッ・イス!ヽ(・∀・人・∀・)ノ」と口ずさんで歩っている小学生のぼく達。
→タクシーの運ちゃんが車の中でエロ本を読んでいる。
→「わぁ!あのおっちゃんビニ本読んでる!見てあれ!」と、ちょっとした騒ぎに。
→あの頃は“エロ本”の事を“ビニ本”と呼んでいたなあ。うふふ。
と、一連の映像がフラッシュバックするのです。

それが“流行歌は思い出になります”という事だったのですね。

この世で一番気持ちいい感覚は“望郷、郷愁、ノスタルジア”だと信じてやまないぼくにとって流行歌はその情動的想起に欠かせない要素なのです。

もちろん流行歌でなくともフラッシュバックは起こります。
部活にせよ、恋愛にせよ、何かに熱中している時耳にした音楽はきっとその中に楽しい思い出を内包し、保存してくれます。

日々音楽に触れていれば、より楽しい思い出が増える。
思い出の引き出しが増える。
より楽しい未来が待っている。という事になりますね。
 

バレンタイン・キッス【7インチ・EP盤】