Essay of recor

音楽にまつわる慕情から哲学を綴る“エッセイ オブ レコー”

 流星 <手嶌葵さん>

疲れきった心と体を癒しに

手嶌葵さんのコンサートへ行ってきました。

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町田市民ホール~心揺さぶる天使の歌声をあなたに~です。

 

 

修羅場のような日常を抜け出し、生で聴く葵さんの歌声に癒され、2曲目には寝てしまいました。引っ叩かれるぞ。

 

 

・・・・開演直前の事。

ふと入口方向から係員さんに詰め寄る男性の声が。

 

男性:「〇列〇〇番はどこですか?」

 

係員:「向こう側から4番目ですね」

 

男性:「こっちからだと何番目ですか?」

 

その男性は座席の間をすり抜けて来てぼくの隣の空席の前で立ちどまり、

「この辺ですかー?!」と係員さんに大声で尋ねました。

 

(なんかトリッキーな人来ちゃったなー。隣だったらやだなー)

と思っていると、係員さんがやって来てもうひとつ隣の席へ男性を案内しました。

そして男性の手を握り、ステージ方向へ伸ばし、

「あちらがステージです」と言いました。

 

そうです。彼は視覚障害者だったのです。

 Σ(゚д゚;)!!

 

一瞬でも彼を訝しげに思った自分の馬鹿さ加減を呪いました。

 

・・・・光のない世界とはどんなものだろう。

想像を絶する。

 

見る事のできない葵さんの顔や衣装など、彼は何度も何度も想像してきたんだろうな。

そしてあの歌声に力をもらい、ここまでやって来たんだろう。

 

やがて照明が落とされ、幕が上がるとぼくは目を閉じ葵さんの歌声だけに集中しました。だから寝ちゃったんですけどね。

 

暗闇の中をやさしく温かく振るわせる葵さんの歌声。

視力以外で感じ取れる事は沢山あるはずだ。

彼女の歌声は一筋の光のように暗闇の会場を包みます。


クライマックス、吉田拓郎の名曲“流星”のカバーに、まどろんでいたぼくの頬を涙が伝いました。

 

この曲は、拓郎さんが“離婚で離ればなれになる娘さんに宛てて書いた”詞だとどこかで聞いた事があります。

葵さんが歌うとまた全く違う曲のように感じられます。

幸福だとは 言わないが

不幸ぶるのは がらじゃない

君の欲しいものは何ですか

 

 

・・・・彼は光が欲しいと思うのだろうか。

いや、思わないんじゃないか。

 

障害を持った人は

自分の境遇や自分にないものを欲しがる方向の生き方では前に進めない。

 

健常者より遥か遠くを見ているような気がします。

 

流れる星は 今がきれいで

ただそれだけに 悲しくて

 

 

あらためて自分の心に問いかけました。

君の欲しいものはなんですか?

 

 

 

 流星のカバーはこちらのアルバムに収録されています。

Collection Blue

Collection Blue

 

 

手嶌葵 流星 歌詞 →【うたまっぷ

http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-111109-092

 

■オフィシャルサイト http://aoiteshima.com/